2009/02/13

フィリピン人振付家が日本のダンス・コンペティションでグランプリ受賞!

 マニラに赴任して以来、数え切れないほどフィリピンのダンスを観て、時に感動し、時に欲求不満で腹を立て、多くの人たちと語らい、内輪のもめごとに頭をいため、その中の何人かはある程度信頼もできる友人となった。このブログでもたびたびコンテンポラリーダンスを取り上げ、どうしてこの分野で交流するのかも自分なりの考えを伝えてきた。そして3年以上が経過した。

 今回、ついにというか、自分の期待をはるかに超えて、横浜ダンスコレクションというイベントの『横浜Solo×Duo+』で、フィリピンから参加したロサム・プルデンシャド・ジュニアという若手振付家が、なんとグランプリにあたる「若手振付家のための在日フランス大使館賞」を受賞した。

 このコンペは日本でも新人振付家の登竜門として最も権威のある賞。もともとは世界中から振付家が集まるフランスのバニョレ振付家フェスティバル(現在)のアジア予選(プラットフォーム)として始まったもので、現在でもグランプリ受賞者はフランスでの6ヶ月間の研修と、留学中にパリ日本文化会館で公演を行うことが保証されている。正直、第一報を受けた時の感想は、まさか・・と思った。

 すぐに関係者に連絡をしたが、2年前に当地を訪れてフィリピンのダンサーたちと交流した舞踊評論家の石井達朗氏から以下の内容のメールをいただいた。

「横浜ダンスコレクション、わたしが行けたのは4日間のうち、2日目と最終日の4日目でした。わたしが見た2日間でローサムの作品が圧倒的によく、フィリピンからこのような作品で出てきているのがすごく嬉しく、本作が是非賞をとれればいいと祈っていました。本当によかったです。ローサムの作品、映像の使い方もすごくよくて、また、彼の動きが抽象的でありながら映像のイメージとリンクしているので、深い余韻を残しました。深いレベルで批評性のある作品で、日本人にはこういうものが欠如しているので、見習って欲しいくらいです。鈴木さん、これからもフィリピンのコンテンポラリー、後押ししつづけてください。」

 この受賞を、マイラ・ベルトランをはじめフィリピンでコンテンポラリーダンスの発展に身をささげる多くの人たち、地方のすみずみまで頑張っている多くのダンサー、フィリピンのダンスにつながる日本の方々、そして友人たちと分かち合いたいと思います。

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